良きストーリーテラーになれ! ベッシャー・アルセニ氏に広報を学びました

公開日:2016年4月20日

 GKPは平成28年4月20日、下水道協会5階大会議室で「広報・PR研究会」を開催しました。講師にグリー株式会社コーポレートコミュニケーション部長のベッシャー・アルセニ氏をお迎えし、広報の基本やパートナー選びのポイント、広報を成功へと導くコミュニケーション・ブリーフの作成方法などを学びました。


ベッシャー氏は、広報をコミュニケーションと定義し、広告代理店ならびにその先にいるクリエーターやアーティストなど、さまざまなプロをパートナーとして巻き込んで目的を達成するものだと教えてくださいました。


コミュニケーションの基本は「ART(アート)とSCIENCE(サイエンス)の融合」だそうです。例えば、広報は、目標を掲げ、道筋を立てて実践し、評価基準を設けてその成果を測りますが、この場合の成果の測定がサイエンスです。サイエンスとは、仮説を立てて実験を繰り返し、仮説が間違っていないことを確信して定着させるものです。一方のアートは測り得ない曖昧な部分であって、特にベッシャー氏が重んじているのが「ストーリーテリング」だといいます。つまり相手を巻き込もうとするのならば、相手に“刺さる”伝え方をしなければならないということです。「まるで小説家が書くような、起承転結のあるストーリーが、コミュニケーションの中にあってしかるべき」。そう、ベッシャー氏は話してくれました。私たち下水道広報に携わる者も、良きストーリーテラーにならなければなりません。


コミュニケーションは相手があってのものです。しかし、組織においては「相手を知る」行動が抜け落ちてしまう場合も多いのが実態です。そこで、ベッシャー氏は内部ターゲット(組織内のターゲット)と外部ターゲットを抽出してマッピングし、それらの人たちが企画に対して肯定的なのか否定的なのか、あるいは中立の立場なのか、そういった情報を書き込んでいくことが大切だとご指摘くださいました。そうすることで、おのずと相手に対するコミュニケーションのあり方が見え、それに応じたストーリーをつなぐことにより、相手との絆が構築できるというわけです。


コミュニケーション・ブリーフ作成のポイントとしてベッシャー氏が挙げてくれたのが以下の7点です。
① 目的
② 背景情報
③ ターゲット
④ 成果物
⑤ KPI(重要業績評価指標)
⑥ スケジュール
⑦ 予算


上記のうち、目的は、削ぎ落としてシンプルにすることが大切だそうです。例えば、ターゲットについてはそれをドンピシャに設定すること。また、その人たちがどういうことをしている人たちなのか、どこでどういった媒体に接触するのかなども明確にする必要があるといいます。KPIはできるだけ具体的にあらわし、イメージが湧くように設定されなければなりません。スケジュールは、成果物をまとめる日付だけでなく、そこにたどり着くまでの打ち合わせ、素案の作成、検証の時期などを事細かに決める必要があるとのアドバイスをいただきました。予算は我々がいつも頭を悩ませる問題ですが、例え充分な予算がなくても、それをありのままに伝えることが重要とのこと。逆に予算がある場合でも「松・竹・梅」などのように、上限・下限のレンジを伝えることも時には有効とのことでした。


当日は上記のようなレクチャーを受けた後、コミュニケーション・ブリーフの実践指導を受けるため、GKPの濵大介委員が、自身で作成したエコプロダクツ出展関連のブリーフを披露しました。ベッシャー氏は、コンペにおける透明性の確保、企画に関して相手(プロ)の想像力を促すブリーフの書き方など、事細かなアドバイスをしてくださいました。


なお、今回は「広報」をテーマに第一線で活躍するベッシャー氏の話が聞けるとあって、官民問わず様々な団体から広報担当者にお集まりいただきました。沖縄県から駆け付けてくださった下水道課公共班主事の竹田佳永さんは、職場が広報に非常に熱心で、今回の研究会にも快く送り出してもらえたそうです。「私は人を巻き込むことが苦手。そんな悩みを抱えていたところに今回の企画を知り、参加した甲斐あって、ベッシャーさんから直接アドバイスをいただくことができました。今後の大きな励みになります」。そう話してくださいました。


GKP広報・PR研究会は、今回ベッシャー氏から教えていただいたコミュニケーション技術の習得をめざし、今後も様々な講演や勉強会を行う予定です。皆さまからの要望なども受け付けますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

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