令和3年1月15日、下水道の市民科学を着実に実施していくための「戦略会議」の位置づけとして、市民科学に関心をもつ自治体が集い、取り組み方をともに考える場として、ワークショップ形式の「市民科学勉強会」(主催:国土交通省、協力:GKPチーム市民科学)をオンラインで開催しました。今回は昨年度に引き続き2回目の開催であり、12の自治体とオブザーバーとして6つの企業に参加いただきました。
はじめに、基調講演として加藤裕之先生(東京大学)より「市民科学は下水道経営の柱~市民の信頼と職員のやりがい~」のテーマで、持続的な下水道経営のためには市民の信頼や職員のモチベーションが大切であり、そこに貢献するのが「下水道の市民科学」であるという内容をご講演いただきました。次に、情報技術、スマートフォンを活用した国内外の市民連携の事例紹介として、市民と行政が協力し地域・街の課題をスマートフォンを使って解決するFix My Street Japanの取り組みを紹介し、小堀洋美先生(東京都市大学)からはスマートフォンを活用した市民参加型調査の「City Nature Challenge」に関してコロナ禍での調査から見えた市民科学のポイントについてご紹介いただきました。
その後、3つのグループに分かれてグループワークを行いました。グループワークでは、Zoomのホワイトボードを活用し、皆で書き込みながら「市民科学に取り組む意義」、「“組織全体の取り組み”として市民科学を導入するために必要なこと」、「実践上の課題に対する解決策」の3つのテーマについて議論を行いました。グループワーク後、代表者が各グループでの議論の内容を発表し、全体で共有しました。「市民科学に取り組む意義」に関しては、市民の下水道の理解度向上のため、下水道の見える化のため、行政と市民の双方向から下水道にアプローチするためなどの意見が出されました。また、「“組織全体の取り組み”として市民科学を導入するために必要なこと」に関しては、事業計画に市民科学を取り入れる、人手不足を解消する、市民科学の結果の見える化をするといった意見が出されました。最後のテーマである「実践上の課題に対する解決策」に関しては、他部局と協働する、スマートフォンアプリを活用する、下水道に関する豊富な知識を持った人材を育成する、面白い取り組みの内容や得られる成果を明確にして活動団体を探すといった意見が出されました。また、新型コロナウイルス感染症の対策として非対面で完結する活動を模索する必要があるといった意見も出されました。
今回は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、オンラインでの開催となりました。その中で、Zoomのホワイトボード機能を活用したグループワークは、人と人との新たなコミュニケーションの取り方のヒントを発見するきっかけにもなりました。
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