コミュニケーション研究会(コミュ研)は3月17日(木)、オンラインで約50名の聴講者を集め、GKP団体会員対象特別フォーラムの第7弾を開催しました。講師に博報堂プロダクツの中島康博氏を迎え、「コロナ禍における展示会でのPR手法の動向」についてお話を伺いました。また、昨年の下水道展(インテックス大阪)で感染症対策に配慮したユニークな展示が注目された(株)フソウ、(株)日水コン、東亜グラウト工業(株)の3社にも協力を仰ぎ、各取組のポイントなどをご紹介いただきました。
中島氏の講演は、①各業界の展示会動向、②課題と解決の方向性、③今後の展示会に向けた提案、の3つを柱に展開されました。同氏によると、これまで国内の展示会をリードしてきたのがIT業界やクルマ業界であるとのことで、コロナ禍に入ってヴァーチャルへの切り換えが目立つIT業界に対し、クルマ業界はフィジカルに固執する向きがあり、東京オートサロンが開催された今年1月までは延期や中止が相次いだといいます。一方で、水処理メーカーなどを含む製造業全般は、資料や映像でPRできる部分が多く、ヴァーチャルに親和性が高い業界であると分析されています。課題としては、フィジカルにおける来場者数の制限や出展効率をどう見るかといった問題のほか、ヴァーチャルにおいてはVIPの対応をどう図るか、プッシュ型コミュニケーションをどうとるかといった問題などが挙げられています。中島氏は、これらの課題の解決に向け、限定されたフィジカルとヴァーチャルによる拡張の融合が一つの有効策であると指摘。具体的には、デジタルツイン(リアル空間にある情報を送信し、同データを元に仮想空間でリアル空間を再現する技術)型ハイブリッドの採用がカギになるのとのことでした。この場合のフィジカルとヴァーチャルの比率は業界によってまちまちで、それぞれの特徴にあわせて使い分けるのが望ましいとのこと。聴講者に向けては、フィジカルやヴァーチャルを問わず、「イベントの特性」を活かした出展計画を考えてほしいとの提言がありました。
上記のほか、セミナーの後半では冒頭に述べた3つの企業の事例が紹介されました。
1例目は、(株)フソウの「非接触型展示会」で、具体的には展示ブースに密な状況を作らず、接触機会を低減し、安心してブースに足を運んでもらえる環境づくりを実践されたもの。
2例目は(株)日水コンの「ハイブリット展示」で、中島氏に解説いただいたフィジカルとヴァーチャルの融合を実践した事例となっています。
また3例目として、東亜グラウト工業(株)の「展示会場から行ったライブ配信」が紹介されました。この取組は、ステージの司会から動画の演出まですべてを社員自ら手掛けたとのことで、社内の一体感が加速した点など、肌で感じた成果が報告されました。
以上3つの事例はいずれも試行錯誤の末に一定の成果を得ており、今後、コロナ禍でどのような演出や展示方法が有効であるのか、深く考えさせられる内容でした。
なお、セミナー終了後に聴講者に対して行ったアンケートでは、基調講演、事例紹介ともほとんどの方が「参考になった」と回答してくださいました。また、今後採り上げてほしいテーマには製品広告や企業広告の制作セミナー、オンラインツールを使った広報活動の手法セミナー、広報センスの磨き方、コンテンツ作りに必要なスキルの紹介セミナーが挙げられるなど、具体的な取り組み方や手法について関心の高さが窺えました。
コミュ研は今後も皆さまの要望に沿ったテーマでセミナーを展開していきたいと考えています。今後の企画に是非ご期待ください。
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