GKP広報大賞2022 審査結果と評価

公開日:2023年3月19日

 下水道広報プラットホームが主催するGKP広報大賞の第10回(2022年)審査会の結果と各団体の評価を改めてご報告いたします。
 グランプリに輝いたのは、堺市上下水道局の「健康増進事業と上下水道事業が連携した新たな広報の取組」です。本取組は、健康増進を図りながら上下水道事業に興味を持ってもらう企画が優れており、その実効性や発展性などを高く評価したほか、局の垣根を超えた実施体制が構築されている点なども表彰の決め手となりました。
 堺市上下水道局は本受賞によって通算のグランプリ・準グランプリ受賞回数が3回となりました。この実績を称え、今回新たに創設した「殿堂入り」に認定させていただきました。今後2年間(認定期間)にわたり、広報を学ぶセミナーでご講演いただくなど、同市の取組やノウハウを全国に広めるお手伝いをさせていただく予定です。
 また、準グランプリとして、北九州市、神戸市建設局東水環境センター、Hole in one(九産大佐藤ゼミ)の3団体の取組を選出しました。
 第10回を記念したレコード表彰を含めた受賞団体とエントリー団体、今回の審査会における評価は下記の通りです。

審査日時:令和5年1月27日(金)13時~17時
審査会場:日本下水道協会5階会議室
審査委員:
     長岡裕(審査委員長)(東京都市大学教授 GKP 会長)
     江戸家小猫(演芸家 GKP 会員)
     岡久宏史(日本下水道協会理事長 GKP アドバイザー)
     小林由夏(シニア広報コンサルタント GKP 理事)
     堂薗洋昭(国土交通省下水道事業調整官 GKP 企画運営委員長)
     諸富里子(環境コンセプトデザイナー GKP アドバイザー)
     頼あゆみ(国土交通省大臣官房政策評価審議官 GKP 理事)
応募団体:10団体

【グランプリ】
 ・堺市上下水道局 健康増進事業と上下水道事業が連携した新たな広報の取組
          ~市民の健康を守る一助はマンホールにあり!?~
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【準グランプリ】
 ・北九州市 魅せて、伝えた“北九州市の街を守る底力”雨水貯留管 ~「PR動画公開」と「管内での出前授業」~
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 ・神戸市建設局東水環境センター 「下水道×アート×SDGsプロジェクト」(ラグビー編)
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 ・Hole in one(九州産業大学地域共創学部佐藤ゼミ) 大学生によるデザインマンホール蓋の広報効果研究
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【殿堂入り】
 堺市上下水道局

◇レコード表彰◇
 <最多エントリー賞>
 地方公共団体部門 京都市(7回)
 民間企業部門   メタウォーター㈱(10回)
 関連団体等部門  (公財)愛知水と緑の公社(6回)
 <最多受賞>
 地方公共団体部門 堺市、神戸市(4回)
 民間企業部門   メタウォーター㈱(5回)
 関連団体等部門  (公財)埼玉県下水道公社、(公社)日本下水道協会(2回)

■審査員講評

長岡裕審査委員長
今回は、応募数こそ少なかったものの内容的には本当に粒ぞろいで、その結果が準グランプリ3件という形となって表れたと思います。応募者との質疑応答を経たのちに選定するという形式はすっかり定着した感がありますが、どのグループも斬新なアイデアが生み出されるための組織力と雰囲気づくりができていたことが印象に残っており、今後の下水道広報のありかたの方向性が垣間見えた回となりました。

江戸家小猫委員
ユニークな取り組みがとても多く、どの部分をどういう角度から評価するか。最後の最後まで悩みました。多くの人に知ってもらうために「入り口を広げる」大切さと、伝わる伝え方をするために「ターゲットを絞る」大切さと、広報の面白さが満ち満ちていました。発想の外にあるような閃きがセンスよく形になるまでのプロセスに、和気あいあいとした対話の場があること。そこに共通点を見い出せたのは非常に大きな収穫だったと思います。

頼あゆみ委員
エントリー数は伸び悩んだものの、粒ぞろいで大いに悩みました。GPで殿堂入りの堺市は、庁内に加え商店街や美術館ともWin-Winで連携し、今後の展開が見えるところが素晴らしかったです。準GPの北九州市と神戸市は発想が面白く、出来上がりも素敵なので、さらに下水道関連施設の理解が進む工夫を期待します。同じく準GP九州産業大学佐藤ゼミは、よくぞこういう調査をしてくれました!というのが素直な感想。デザインマンホールに取り組む自治体の力になります。倉敷市のマグネットシート、個人的に大好きな取組で、次の展開が楽しみです。三島市の波状的な取組は、下水道広報のお手本のようです。浜松市はウェブサイトのコンテンツそのものがよくできていて、これを活用したイベントは喜ばれただろうと思います。やったもん勝ちと自らおっしゃる熊本市のゆっくり解説は、ターゲットを絞ったところがよかったと思います。スタイルは今風ですが、内容は堅実。JGMAの広報マンガは安定のクオリティで、第三弾が楽しみです。社員参加型の東亜グラウト工業の取組は業界全体の好印象に繋がるもので、今後にも期待大。

GKP広報大賞2022 評価ポイント
エントリー数は伸び悩んだものの、今回エントリーいただいた取組はいずれも粒揃いで素晴らしく、審査は非常に難しいものでした。

■グランプリ
堺市上下水道局
・高齢者の健康増進事業(健康福祉局)とコラボレーションし、相乗効果を生み出す発想と企画力が素晴らしい
・堺観光コンベンション協会や堺アルフォンス・ミュシャ館、堺東商店街等とのWin-Winの協力関係の構築により、事業がひときわ魅力的なものとなっている
・局の垣根を超えたチームワークの良さがうかがえ、今後の事業の具体的な展開、発展性が期待される

■準グランプリ
北九州市上下水道局
・雨水貯留管の中をスケートボードで走るアイデアが秀逸で、映像のクオリティーも高い
・スケートボードを入口として、下水道の関心や理解につなげる仕組みの構築が期待される
・雨水貯留管の広報活用の幅を拡げた新しい試みとして評価でき、今後の全国的な波及が見込まれる
・スケートボードパークに実際の貯留管を設置するなど、新たなチャレンジにも期待

神戸市建設局東水再生センター
・消化タンクをラグビーボールに見立て、選手が最も強い想いを込める瞬間を切り取った構図が見事で、その発想とセンスの良さを高く評価した
・発想が面白く、出来上がりも素敵なので、さらに下水道関連施設の理解が進む工夫を期待する
・「大喜利」を軸に、わきあいあいとした雰囲気の中で優れた発想を生み出す仕組みは他団体の参考になる
・マンホールレンジャーの一層の活躍にも期待

Hole in one(九州産業大学地域共創学部佐藤ゼミ)
・広報の永遠のテーマである「広報効果の測定」にデザインマンホール蓋の視点から切り込んだ発想を高く評価。よくぞこういう調査をしてくれました!というのが素直な感想。デザインマンホールに取り組む自治体の力になる
・マンホールサミットの発表も構成がしっかりしており、素晴らしかった
・人々の行動や想いにどのような変容があったかなど、さらなる調査項目の充実と分析の深化に期待
・調査範囲の拡大に向けて、日本グラウンドマンホール工業会等とのコラボレーションの進展を望む

■その他のエントリー

倉敷市
・効果的な広報を低予算で実現したアイデアが優れている
・安価であるため、他部局や他都市でも採用しやすく、全国的な横展開が見込める
・「マンホールラッピングカー」を検討中とのことだが、例えば近隣都市とマンホールのデザインを交換して走らせるなど、新たな展開を期待したい
・個人的に大好きな取組
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三島市
・下水道広報とキーワードの掛け合わせをシリーズ化し、第1弾から第4弾まで、いずれもハイレベルな企画に仕上がっている
・波状的に次々と取り組んでいるところは、下水道広報のお手本のようになっている
・市民参加型で実現した点も高評価
・特に下水汚泥の肥料化は国の重要政策のひとつであり、生産者等との連携のもと一層の利用促進が期待される
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浜松市
・コロナ禍の中、デジタル広報に加えて、多くの市民に求められている「体験型広報」を兼ね備えた点が素晴らしい
・デジタルコンテンツの完成度も高い
・ウィズコロナにおけるハイブリッド型イベントの先駆けとして、市民と連携した一層の進化・発展に期待
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熊本市
・既存メディアを利用しない層にターゲットを絞った広報が特徴的であり、うまくいっている
・若い世代に受け入れられている「ゆっくり解説」を採り入れた発想が面白い
・YouTubeの倍速再生やTikTokのショート動画など、引き続き若い世代に特化した配信手法の追求に期待
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日本グラウンドマンホール工業会
・マンガという親しみやすい媒体を用い、マンホール蓋の維持管理の必要性が分かりやすくまとめられている
・デザインマンホール蓋への関心を下水道理解につなげる効果的なツールとして評価
・第2弾として、第1弾に引き続き、安定のクオリティ
・第3弾、第4弾と、今後のストーリー展開に注目
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東亜グラウト工業
・社員参加型で会社をあげて広報に取り組む熱量が素晴らしい
・活動成果を継続的にエントリーいただいていることに対し、敬意を表したい
・今回は下水道業界で働いている「人」にスポットを当てた企画であり、リクルート活動の枠を超えて、業界全体のイメージアップにつながっている点が素晴らしい
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